新型コロナウイルス感染第5波での生協病院は

2021/10/13

緊急事態宣言下の取り組み

新型コロナウイルスに振り回される日々が続いています。相手はウイルスですから変異を起こし、これまでアルファ、ベータ、ガンマ、デルタ型という重要な変異株が世界的に問題となりました。さらに、ミュー型を含む5つの注意すべき変異株について、感染力やワクチン効果への影響などの調査が行われています。
また、ワクチンを接種したにも関わらず感染してしまう「ブレイクスルー感染」も注目されています。特に感染力の強いデルタ株であることや、時間が経つと中和抗体が低下していくことが、ワクチンの感染予防効果の低下に影響するようです。ワクチンの効果は中和抗体を作ることだけではなく、他の免疫細胞への効果もあるため、感染予防効果がゼロになるわけではありませんし、重症化や死亡を予防することについては引き続き高い効果を認めています。しかし、当初期待されたような「ワクチン接種でコロナを収束させる」という単純なものではなくなりました。
デルタ株が主流となった今回の第5波の中で、宮崎では8月11日から県独自の緊急事態宣言が発令され、8月20日には1日の新規感染者数が過去最多の158人を記録し、8月26日にはまん延防止等重点措置の指定を受けました。

自宅死を出さないために

当院における第5波は、お盆明けから発熱外来を受診される方の半数弱が新型コロナ陽性と判明する異常事態で始まりました。患者さんが増えれば、自宅や宿泊施設で療養する患者さんが累積することになり、その中で急に体調悪化する人が出てきます。そのため、保健所からの依頼を受け、新型コロナ陽性患者さんの外来診療を行いました。時には酸素投与を必要とする患者さんがおられ、その日のうちに専門病院への入院が調整できない場合は当院に一泊入院し療養して頂きました。
保健所の方々も当院職員も、患者さんに辛い症状の中でも少しでも安心して療養してもらいたい、絶対に自宅死を出したくないという一心でした。通常の診療は何一つ制限せず、並行して上記の対応を行なったため、職員の負担はもちろん、当院を利用される患者さんにも待ち時間などで影響があったと思います。ご協力頂き本当にありがとうございました。

今こそつながりを

希望もあります。効果が落ちるとはいえ、新型コロナワクチン接種が進んだ世代では感染が明らかに減っています。これから若い方々の接種が進めばさらに波は小さくできるでしょう。また、基礎疾患を複数持つ患者さんに対しては、重症化を予防するための抗体カクテル療法(発症して1週間以内の投与)が始まりました。重症化や亡くなる方を減らすための治療の開発が進んでいます。
私たちの生活はまだまだ制限の多いものですが、手洗いやマスク装着を行い、換気の悪い場所を避けることなどが感染対策に有効であることに変わりありません。その対策の上で、流行の落ち着いた時期には組合員さんたちの活動再開や交流などは可能だと思います。この生活の中で、社会的弱者と言われる人々がさらに苦境に立たされ、基礎疾患で咳などの症状がある人々が周囲の目を気にして生活しづらくなるなど、身近で苦労している方が増えていることでしょう。地域で支えあい、つながりを持ち続ける医療生協活動が力を発揮する場面です。みんなでこの災害を乗り越えていきましょう。


宮崎市のコロナ患者の年齢推移